

アリゾナタウンがゆく!
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AZTスペシャルインタビューVol.04 児童文学作家・翻訳家 まだらめ三保さん【後編】読書が好きで幼少期から海外文学に多数親しみ、児童文学作家・翻訳家になるという夢を見事に叶えたまだらめ三保さん。後編では、大人気の「おひめさまシリーズ」のお話、アリゾナへ移住された経緯、そして4月に発売...続きを読む
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AZTスペシャルインタビューVol.04 児童文学作家・翻訳家 まだらめ三保さん【前編】1980年代後半〜2000年代を中心に多くの作品を世に出した、児童文学作家であり翻訳家でもある、まだらめ三保さん。現在、アリゾナ州のスコッツデールにお住まいであることを知り、アリゾナタウンでお話を伺う...続きを読む
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AZTスペシャルインタビューVol.04 児童文学作家・翻訳家 まだらめ三保さん【後編】
04/22/25 08:00

代表作の「おひめさまシリーズ」には、
「子どもでも大人でも
自分らしさを失わずのびのびと」という
強い願いが込められている。
「子どもでも大人でも
自分らしさを失わずのびのびと」という
強い願いが込められている。

翻訳家としても活躍していたまだらめさんは、
誰もが知る名作の翻訳も手掛けていた。
誰もが知る名作の翻訳も手掛けていた。
読書が好きで幼少期から海外文学に多数親しみ、児童文学作家・翻訳家になるという夢を見事に叶えたまだらめ三保さん。後編では、大人気の「おひめさまシリーズ」のお話、アリゾナへ移住された経緯、そして4月に発売されたばかりの詩集『もくようびがにげだした』について伺いました。
「自分らしくのびのびと自由に!」と願うまだらめさんの想いをぜひ感じとってください!
― 大ヒット作の「おひめさまシリーズ」は、今の子どもたちが読んでも非常に楽しい作品です。当時はどのような想いで執筆されていたのでしょうか。
実は「おひめさまシリーズ」には、当時の世間への怒りや反抗心が込められているんです。例えば、『おひめさまがっこうへいく』では、おひめさまが先生にくるくるしたカーリーヘアを注意される場面があります。おひめさまが「これは天然パーマよ」と説明するのですが、先生は「天然パーマも禁止です」とトンチンカンな返答をします。
日本の学校の校則って、変に厳しいですよね。おひめさまのように天然パーマでも「パーマだからダメ」と言われたり、髪を染めることがルール違反なのに地毛が茶色い子は黒く染めてみんなと同じにしなければいけなかったり、理不尽なことがたくさん! 私は「人それぞれの個性を大切にしてほしい」と常々思っていました。
また、女性に対しても当時は不平等だと感じることが多くありました。例えば、女性初の内閣官房長官であった森山眞弓氏が、内閣総理大臣の代理として大相撲の表彰式で優勝力士にトロフィーを渡そうとして、許可されなかった出来事がありました。理由は、神聖な土俵が女人禁制だから。もちろん、伝統を重んじることは大切ですが、私はこの件にどうしても納得がいきませんでした。その想いを込めて書いたのが、『おひめさまおすもうさんになる』です。
お相撲大会に参加しようとしたおひめさまに「おんなのこ おいかえしがかり」のおじさんは「女の子は力持ちじゃない、泣き虫だ、勇気と元気がない」と文句を付けて追い返そうとします。おひめさまはおひめさまらしいユーモラスなやり方でおじさんを撃退。最後には、お相撲大会に紛れ込んで本物のお相撲さんも負かした泥棒と土俵の上で対決、やっつけてしまいます。ここでみんなが「男の子にできることは女の子にもできるんだね」と気がつき「男の子だから~」「女の子だから~」はおかしいと納得する、というのが大筋のストーリーです。あくまでもナンセンスファンタジーですから、次々とおかしなことやびっくりすることが起きる仕掛けになっています。
いつも「もっと風通しのよいところで、もっと自由に!」という願いを込めて「おひめさまシリーズ」を書いてきました。
― 日本でのご活躍は大変目覚ましいものでしたが、どのようなきっかけでアリゾナ州に移り住むことになったのかお聞かせください。
「おひめさまシリーズ」が好評で、「きかんしゃトーマス」も大人気。そんな中、私はとても忙しい日々を過ごしていました。最も多忙を極めていた頃は、1年に3冊の「おひめさまシリーズ」を書きながら、その合間に「きかんしゃトーマス」の翻訳も手がけていました。1990年代のことだったと思いますが、ふと「アウトプットばかりでは自分がなくなる。インプットしたい」と感じるようになりました。そこで、周囲の反対を押し切り、シカゴ大学の大学院に進学することを決意しました。大学院では The Committee on the History of Culture(文化史専攻)で、人文学と社会科学の両分野を通して、文学作品の背景にある社会的事情を研究することを選びました。
在学中に、当時大学で教鞭をとっていた医学者の夫と出会い、結婚を機にアメリカへ移住、夫の大学引退の後、あたたかいところへとシカゴからヒューストン郊外へ移りました。その間、夫がアリゾナで働く機会があり、私も帯同。短期間の滞在とはいえ、アリゾナはヒューストンに比べて安全でとても居心地がよく、「それなら試しに1年間家を借りて住んでみよう」と、アリゾナの四季を経験した後、本格的に家探しを始めました。気に入った家も見つかり、2012年にヒューストンからアリゾナのスコッツデールへ引っ越してきたのです。
― アリゾナ州での現在の生活はいかがですか? 日本が恋しくなりませんか?
アリゾナは太陽と青空がいっぱいで気持ちのいいところですが、夏の暑さは厳しいです。空気がドライなので日本の夏ほど過ごしにくくはありませんが、47度はこたえます。それなので、夏の3ヶ月はカリフォルニア、サンディエゴのマリーナに置いてあるボート(クルーザー)で暮らしています。キッチンやバス・トイレはもちろん、洗濯機も備え付けになっているので、想像以上に快適な生活を送れています。
アリゾナ州の自宅にいるときは、朝起きるとまずiPadでニューヨーク・タイムズ、BBC、朝日新聞のデジタルニュースをひと通りチェック。そして、だいたい午前中に執筆を終わらせ、午後はポッドキャストを聴きながら家の中を歩いて軽く運動をしています。1日に5,000歩ほども歩いているんですよ! 引っ越してすぐは庭のプールで泳いでいましたが、アリゾナの太陽で真っ黒に日焼けしてしまうので、今はインドア派です。それ以外には、ヒューストンに住んでいた頃に始めた絵を描いたり、レゴやパズルを作ったりするのも好きなので、そうした趣味の時間も大切にしています。
日本へはコロナのパンデミック以前、年に一度は帰国して学生時代の友人や仕事関係の方たちと会っていました。状況が許す限り、また毎年一時帰国して、皆さまと会い日本のおいしいものをいただきたいと思っています。
― 現在も執筆を続けていらっしゃるとのことですが、4月に発売される詩集『もくようびがにげだした』についてお聞かせください。
2年半ほど前から詩を書くようになりました。「私が書くものは詩なのかしら」と、試しにオンラインで応募できる詩の賞に作品を送ってみたところ、2022年度の金澤新人賞を受賞、第57回詩人会議・新人賞に入選。それを励みに雑誌に詩の投稿を続け、このたび詩集を上梓する運びとなりました。この詩集には、日々の生活の中で感じたことを綴っています。冒頭の「わたしの空間」をはじめ、随所でアリゾナの空気や風景を感じていただけるのではないかと思います。
― まだらめさんの詩は、読んだ瞬間から詩のイメージが湧くのが素晴らしいと思います。
詩でも物語でも、私は読み手に「見えるように書く」を心がけています。さらに、読み手に自分の伝えたいことを最も効果的に伝える方法を考えながら書いていますね。例えば、詩集の中にある「爆弾が降る国」という詩は、パレスチナ・ガザ地区で起こっている戦争のニュースを見て感じたことをもとに書きました。作品の中に出てくる人物の名前や年齢、肩書き、内容などはすべてフィクションですが、ただ「事実」を並べることで、かえって戦争の悲しさを感じてもらえるのではないかと、こういうスタイルにしました。また、できるだけ「蜜のように甘い」などの直喩を使わずに、自分なりの表現で書ければと思っています。
私の詩を読んで、読み手の方がご本人も気づかなかった想いや心の揺れを感じていただければ嬉しいです。
まだらめ三保さん初の詩集が発売!
詩集『もくようびがにげだした』(土曜美術社出版販売)¥2,200
詩人の秋亜綺羅氏が創設した詩誌『ココア共和国』の入選作も収録された、まだらめさん初の詩集。全128ページの本書には、まだらめさんが日々感じている想いが随所に描かれています。
児童書作家ならではの物語性が光る作品の数々にぜひご注目ください!
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*本書は発送先に「アメリカ合衆国」を選択のうえ、Amazonよりご購入が可能です。
https://amzn.asia/d/j7NiRiV
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https://userweb.vc-net.ne.jp/doyobi/pg246.html
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